戸建に住んでいるみなさん。お宅は、何階建てですか?一番多い回答が2階建てなのは、容易に想像がつくと思います。一般の住居で、4階建てはあまり耳にしませんよね。4階建てであるからこその問題点、そして利点を考えてみました。これを読めば、あなたも4階建てに住んでみたくなるかも知れません!
まず初めにご紹介するのは、一瞬目を疑ってしまうような敷地に建てられたこちらの住居。十字架と言えば… そう、お墓です。イギリスの建築家ジョン・ウィンターが1970年代にロンドンのハイゲート墓地庭園のすぐ脇に建てた邸宅を取り壊して、同じ敷地で全く新しい住居が建てられました。近代的なガラス窓に、水平ラインを強調するコンクリートのスラブ。外観こそモダンではありますが、中庭を通る打ちっ放しのコンクリートに挟まれた階段は静寂そのもの。お墓という特異な敷地への、コントラストを前面に押し出した提案です。
階段に向かって腰をかけられるようになっているこちらの住居。福島を中心に活躍する前原尚貴建築設計事務所によって手がけられました。こちらは半地下の和室を含め、4層のスキップフロアで空間が構成され、階段を中心とした回遊性が流れるようです。桜の名所の川べりに立つという敷地の特性を活かし、まるで河川敷に腰掛けてお花見するかのようなデザインが施されました。春になって、家から桜を眺めてみんなでピクニックなんて、楽しそうですね。
住居のど真ん中に設置された階段がシンボリックなこちらの住居。崖の上という敷地のため、勾配がきつくRC造地下2階、木造地上2階のような作りになっています。部屋の仕切りに壁やドアを用いず、階段で空間を仕切ることで、開放感抜群、かつ、常に家族の気配が感じられる仕上がりとなりました。また、階段部分が光を通すため、下の階にいても十分な外光を感じることができます。住居に合わせたゾーニング(空間の仕切方)の重要性を再実感させてくれる例です。
高層の住宅で問題になるのが、いかに光を階下まで届けるか。あまり田舎で4階建ての住宅って見かけませんよね。それは、十分な敷地面積が確保できるからです。よって高層の戸建住宅は都市部に多く、周りを同じように高い建物に囲まれやすく、かつ敷地が狭いため、庭を持つことも難しくなります。そんな問題を、ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室が解決しました。こちらの4階建て住宅では、階下まで自然光を落とすためライトウェルを設置。さらにライトウェルに面してたくさんの小窓を取り付け、明るさだけでなく家族の気配も常に感じられるような工夫が施されました。さらにはエレベーターシャトルもガラス張りにすることで、明り採りの役割も。近隣の高い建物をものともしない、光が溢れる住宅です。
こちらはメキシコにある4階建ての住宅。階段上に階層が少しずつずれながら重なっています。セットバックすることで、どの階にも太陽光を十分届けることができ、また各階に広いテラスを設けることも可能となりました。眼下に広がる海を楽しむための、贅沢なデザインです。
「ランタンプロジェクト」と名付けられたこちらの住宅。イギリスはロンドンに、FRAHER ARCHITECTS LTDによって手がけられました。リノベーションで姿を変えたこちらの住宅の大きな特徴は、大木に見立てた階段。地下1階は根をはるイメージ、最上階は軽やかに天窓に伸びていくよう、階段が幹となり4つの階層をひとつにまとめあげています。
ガレージ兼リビングという驚きの組み合わせのこちらの部屋。手がけたのは香港のMILLIMETER INTERIOR DESIGN LIMITED。ショーケースに停められた真っ赤なスポーツカーが目を惹きます。階段からも、ダイニングからも、家のどこからでも眺められるよう、ショーケースを中心とした家造りがなされました。こんな贅沢な空間の使い方、してみたいものですね。
こちらもロンドンに建つ、リノベーションされた4階建て住宅。もとは1867年に3軒続きの長屋の一つとして建てられました。その後幾度も改装工事が行われましたが、茶色の石造りの正面ファサードは当時のまま。バックヤードの壁にオリジナルの基礎をアクセントとして取り入れるなど、建物が経験してきた歴史をデザインへと昇華させました。
東京を中心に活躍するSTUDIO M ARCHITECTS/有限会社スタジオ エム 一級建築士事務所がトム・ファウダーズとタッグを組んで取り組んだ、こちらの住居。白を基調とし、4階建というボリュームを全く感じさせない軽快なデザインは、軽いスラブと細い鉄鋼の柱、そして随所に用いられた透明パネルやガラス天井によって、成し遂げられました。ファウダー氏デザインの個性的なファサードが、シンプルな室内にアクセントを添えています。